天竺綿について

『天竺綿とは』

綿繊維を撚り合わせた糸の表面にある不要な繊維を取り除くカーディングを行い不要部分が除去された糸をカード糸といいます。
さらに均一性を高めるためカード糸の表面に残る繊維をさらに約15～20％そぎ落とすコーミングを施した糸がコーマ糸と言われ。天竺綿布の原糸には綿糸（コーマ綿）の中でも最高級で希少な「天竺綿」(綿花表皮くずが少ない超長繊維綿)が使用されております。
綿（コットン）100%のキャンバスは、四季のある日本の気候ではゆるんでしまう短所がありましたが、天竺という縫製生地を用いることで、きめ細かい絹のような目合い、柔軟性と強さを備えた支持体（下地）としてご提案させて頂いております。

天然素材の良さである柔軟性、強さをそのままに活かすため脱色（漂白）や脱脂などのケミカルな処理を施さない生成りの生地を使用しています。

元来単体での裂強度や下地としての滑らかさと喰い付きの両立、剥離耐性を意図するものですが、独特のナチュラルで暖かみの感じられる風合、従来の麻キャンバスなどに比べ細密に適した特長特質をそのまま描画に活かして頂いている場合もある様です。

注意事項

張り込みパネルに関しては紡績する際に取り除けなかった繊維の粒片や極小のパイル、漂白処理を施してない為に生じる色の付いた部分（黒っぽ糸状の片）など、作画に差し障りのない範囲で選別しておりますがやむなく混入する事がございますことをご承知おきください。

また繊維の目の方向角度がパネルに対して歪んで見える場合もございますが弊社天竺綿布は原反から人工的で画一的な平行織ではごさいません。天竺織とゆう製法により生じる繊維のランダムなバイアス、独特の揺らぎや畝(うね)が天竺綿に天然素材そのものの独特の表情を生成しております。素材感を積極的に生かした描画にご活用頂けると幸いです。

天竺綿はドーサ等の滲み止めは施されていません。貼り込みの際、水分を吸収することにより約1%ほど縮みますので採寸の際にはご注意下さい。

『天竺綿キャンバス』

天竺綿にキャンバスコーティングを施した支持体です。
（油彩・アクリル共用）

麻キャンバスと比べ天竺綿キャンバスは非常にフラットでスムースな画面が体験できます。

京都造形芸術大学との共同開発

『Creation with Artists and Laboratory』

天竺綿布・天竺綿キャンバス・ユニペーパーの３支持体は「京都造形芸術大学」との産学共同研究（Creation with Artists and Laboratory Project）により開発されました。

限りある天然資源に頼る事なく、劣化しない安定した支持体を求めて研究を進めてきました。日頃より、画材の正しい使い方、古典から最新の技法を探究されている研究室協力のもと新提案する支持体です。